退職代行は違法?法律的な正しさと安心して使うためのポイントを解説
「退職代行を使うのって違法なの?」そんな不安を持つ人は少なくありません。特に法律に関することは難しく感じてしまいがちです。
この記事では、退職代行の違法性についてわかりやすく解説し、安心して利用するための方法や注意点について詳しくお伝えします。
退職代行は正しく使えば法律違反ではありません。ただし、業者の対応範囲や内容によっては違法になることもあるので、選び方がとても重要です。
退職代行は本当に違法なのか?法律的な立場を解説
まず知っておいてほしいのは、退職代行そのものが違法だとは限らないということです。法律の立場から、どこまでが許されていて、どこからがダメなのかを見ていきましょう。
退職の意思を伝えるだけなら違法ではないから
退職代行業者が行う主な仕事は、依頼者の代わりに「会社を辞めます」と伝えることです。
このように退職の意思を伝えるだけの行為は、法律上問題ありません。
たとえば、電話で「○○さんは本日から出社しません」と伝えるだけなら、特別な資格はいりません。
これは本人が直接言っても、誰かが代わりに伝えても、結果が変わらないからです。
労働者には退職の自由が法律で認められているから
日本の法律では、働く人が「辞めたい」と思ったときに仕事を辞める自由があります。
民法627条により、正社員でもパートでも、退職の自由が保障されています。
このため、「辞めさせない」と強く引き止められても、法律的には退職できます。
退職代行は、その自由をスムーズに実行するための手段とも言えます。
非弁行為に該当しない範囲なら問題ないから
違法になるのは「非弁行為」にあたる場合です。
非弁行為とは、弁護士でない人が、法律に関する交渉や手続きなどをすることを意味します。
退職代行業者が、退職の意思を伝えるだけなら非弁行為にはなりません。
しかし、後ほど説明するように、交渉や法的な主張を代わりに行うと違法になります。
退職代行が違法になるケースとは?注意すべきポイント
ここでは、退職代行が法律に違反してしまう場合について解説します。これを知っておくことで、違法なサービスを避けることができます。
弁護士でないのに会社と交渉をするのは非弁行為だから
退職代行業者が、弁護士資格を持っていないのに「会社と条件交渉をします」と言っている場合は要注意です。
給与の未払いの話し合いや、有給休暇の使い方について交渉することは、弁護士しかできません。
これを一般の業者が行うと、非弁行為に該当します。
その場合、業者だけでなく依頼者にもリスクが及ぶ可能性があります。
慰謝料請求や有給消化の交渉を業者が行うのは違法だから
「精神的に傷ついたので慰謝料を請求したい」といった場合や、「残っている有給を全部使わせてほしい」と要求することは、交渉が必要になります。
このような交渉を弁護士でない業者が代わりに行うと、完全に違法です。
安心して辞めたいのに、逆にトラブルを招いてしまっては本末転倒です。
このような要求がある場合は、必ず弁護士に依頼しましょう。
業者の社員が個人で連絡する場合もトラブルのもとになるから
退職代行業者の中には、会社としてではなく、社員個人の名前で会社に連絡するケースもあります。
これはトラブルの原因になります。
責任の所在があいまいで、万が一のときに逃げられてしまう可能性があるからです。
信頼できる組織が運営している業者を選ぶことが、トラブル回避の第一歩です。
弁護士が行う退職代行と一般業者の違いとは?
退職代行には、弁護士が行うものと、そうでない一般業者によるものの2種類があります。この違いを正しく知っておきましょう。
弁護士は交渉や法的対応ができるから
弁護士が行う退職代行は、会社との交渉や法的な処理を任せることができます。
たとえば、未払い給与の請求や、ハラスメントの証拠提出なども弁護士であれば可能です。
労働者の権利を守る専門家なので、安心感もあります。
特に問題がこじれているときは、弁護士の力を借りるのがベストです。
一般業者は退職の意思を伝えることしかできないから
一方で、一般の退職代行業者は「辞める意思を伝える」ことだけができます。
会社とのやりとりは一方的に伝えるだけで、交渉はできません。
たとえば「有給を消化させてください」といった主張をしても、返事が来ても返せないのです。
この制限があることを理解したうえで依頼しましょう。
トラブル時の対応力に大きな差があるから
退職時に問題が起きる可能性はゼロではありません。
そのとき、弁護士であれば会社としっかりやり取りできますが、一般業者は対応できません。
トラブル対応の面でも弁護士のほうが安心です。
「何かあったときにどうするか」を基準に業者を選ぶとよいでしょう。
退職代行の利用でトラブルにならないための対策
退職代行を使うときにトラブルを避けるためには、いくつかの大切なポイントがあります。
弁護士法人や労働組合に依頼する
法律的に問題のない退職代行を選ぶには、弁護士法人や労働組合が運営しているサービスを選ぶのが安心です。
これらは法的な知識も持っており、非弁行為の心配がありません。
労働組合は会社との交渉が法律で認められているため、安心して依頼できます。
実績のある団体を選ぶとさらに安心です。
事前に業者の対応範囲を確認する
退職代行を利用する前に、「何をしてくれるのか」「何はできないのか」をきちんと確認しましょう。
対応できる内容を事前に説明しない業者は避けるのが無難です。
対応範囲が曖昧だと、後でトラブルになる可能性があります。
公式サイトや問い合わせで詳細を確認するのがおすすめです。
契約内容や利用規約をしっかり読む
契約書やサービス利用規約は、細かくて難しいですが、必ず目を通しましょう。
そこに「交渉はできません」などの注意書きがある場合、それを理解したうえで申し込むことが大切です。
契約書に書かれていないことを後から要求すると、トラブルの原因になります。
わからない部分は質問して確認することが重要です。
違法な退職代行サービスを見分けるポイント
世の中には多くの退職代行サービスがありますが、中には違法な活動をしている業者もあります。安心して利用するためには、見分け方を知っておくことが大切です。
会社との交渉を積極的にうたっている業者は要注意
「会社と交渉します」「未払い給与や慰謝料を請求します」といった表現をホームページに載せている業者には注意しましょう。
交渉は弁護士でなければ法律違反になります。
もし一般の業者がこれを行っていれば、非弁行為にあたる可能性が高いです。
こうしたサービスを利用すると、後からトラブルになることもあるため避けたほうが良いでしょう。
運営元の資格や団体名を明記していない業者は避ける
信頼できる退職代行業者は、運営している会社や団体の名前、住所、代表者名、連絡先などを明記しています。
これらの情報がない業者は、責任の所在が不明確で非常に危険です。
また、労働組合や弁護士法人であれば、その資格や登録番号も書かれているはずです。
公式サイトで確認できない場合は、利用を控えたほうが安心です。
極端に安い料金や即日退職を強調する広告は警戒する
「即日退職OK」「追加料金なしでなんでも対応」といった広告には注意が必要です。
安さやスピードを売りにしていても、内容が不十分だったり、違法なサービスが含まれている場合があります。
また、安価なサービスの中にはアフターフォローがない業者もあります。
金額だけで判断せず、内容と運営元をしっかり確認するようにしましょう。
安心して使える退職代行サービスの選び方
安心して退職代行を使うためには、信頼できる業者を見極めることが大切です。ここでは、選ぶときに見るべきポイントを紹介します。
労働組合または弁護士法人が運営しているか確認する
まず最も重要なのは、退職代行サービスの運営元が信頼できる団体かどうかという点です。
労働組合が運営していれば、会社との交渉が合法的に行えますし、弁護士法人であれば法律の問題にも対応できます。
どちらも非弁行為にはならず、安心して依頼できる点が魅力です。
公式サイトや契約書に明記されているかを必ず確認しましょう。
口コミや評判、実績をチェックする
実際にその退職代行サービスを使った人の口コミやレビューはとても参考になります。
GoogleマップやSNS、比較サイトなどを使って、実際の利用者の声を確認しましょう。
あまりにも評判が悪い、もしくは情報が少なすぎる場合は避けるのが無難です。
また、運営歴が長いかどうかも信頼の判断材料になります。
料金体系が明確かどうか確認する
退職代行の料金は、サービスの内容によって異なります。
安心して使うためには、追加料金の有無や、何にいくらかかるのかが明確になっているかが重要です。
契約後に思わぬ料金を請求されることがないよう、細かい料金表示まで確認しましょう。
「一律○万円」などの表示でも、含まれているサービス内容をよく読むことが大切です。
退職代行のよくある質問と法律に関する疑問
退職代行に関してよくある疑問と、それに対する法律的な回答をまとめました。
退職代行を使って会社を辞めても違法ではない?
退職代行を使っても、法律的には違法ではありません。
退職の意思を本人に代わって伝えるだけなら、特に問題はないとされています。
ただし、交渉などが含まれると違法になる可能性があるので注意が必要です。
正しい業者を選べば、法律の範囲内で安心して辞めることができます。
会社に損害賠償を請求されることはある?
基本的に、普通に退職するだけで会社から損害賠償を請求されることはありません。
ただし、会社に大きな損害を与えた場合などは、まれに請求されることもあります。
例えば、重大な業務ミスや情報漏洩などがあれば別ですが、ただ辞めるだけなら問題ありません。
不安な人は、弁護士に相談するのがおすすめです。
退職届は自分で書かなくてもいいの?
退職届は自分で書くのが基本ですが、退職代行業者が代筆を手伝ってくれることもあります。
ただし、代筆には本人の意思確認が必要なので、内容には注意しましょう。
また、本人の署名や捺印が必要な場合もあるので、事前に確認しておきましょう。
トラブルを防ぐためにも、自分で書いて渡すのが安心です。
有給休暇は使える?業者が申請しても大丈夫?
有給休暇は労働者の権利なので、条件を満たせば当然使うことができます。
ただし、有給の申請は「交渉」に該当するため、弁護士や労働組合でないと代わりに申請することはできません。
そのため、有給消化を希望する場合は、弁護士法人や労働組合に依頼するのが確実です。
一般の退職代行業者では、有給申請の代行はできないと考えておきましょう。
まとめ:退職代行は違法じゃないの?法律的な問題と選ぶ際の注意点
ここまで紹介してきたように、退職代行は法律的に違法ではありません。ただし、業者選びやサービス内容には注意が必要です。
退職代行は正しく使えば違法ではない
退職の意思を伝えるだけなら、退職代行を使っても法律違反にはなりません。
安心して使うためには、交渉や法的行為を行わない業者を選びましょう。
また、弁護士や労働組合に依頼すれば、より安心して利用できます。
非弁行為に注意し、適法な業者を選ぶことが大事
非弁行為とは、弁護士でない人が法律に関する交渉を行うことです。
これに該当するサービスは違法なので、注意が必要です。
公式サイトや口コミなどを見て、サービス内容と運営元をよく確認しましょう。
弁護士か労働組合運営のサービスを選ぶと安心
最も安全に退職代行を使う方法は、弁護士法人または労働組合が運営しているサービスに依頼することです。
法律に詳しく、トラブルにも対応できるので、初めての方でも安心です。
少し費用が高くなる場合もありますが、その分の安心感は大きいでしょう。